自分が京都に来てからというもの、神様から与えられた最大の
課題は、職場のおばちゃんに取り組むことでした。
強烈なキャラクターの人って時々いますよね?
自分はできるだけ人の陰に隠れ、益にも害にもならないように
ひっそりとしているのが好きなので、こういう強烈な人に会うと
恐れをなして怖気づいてしまいます。
それでもこの強烈な人とやっていく術を見につけたら、きっと
どんな人が来ても怖くなくなると思い、
何とか乗り越えようと思考錯誤の毎日でした。
自分の初出勤の日、まずおばちゃんはこちらの顔を見てくれませんでした。
そこで心の中に2つの考えが浮かびました。
考え1:「この人にとって、私は苦手なタイプなのだろう」
考え2:「超人見知り」
おばちゃんはこちらに対し、常に突き放すように接してきました。
仕事も全然教えてくれず、その状態がひと月以上も続きました。
ずっと後で同僚に聞いたところによると、新しく入ってくる職員は、
まずこのおばちゃんの洗礼を受けるそうです。
このことを教えてくれた人は、2~3ヶ月まともに顔を見て
もらえなかったと言っていました。
今では、おばちゃんは縄張り意識が強いのと、警戒心のあまりの強さに、
簡単には人に心を開かない性格だ、というのが真相のように思います。
このようなおばちゃんですが、電話越しに聞く彼女の声は嫌な響きではなく、
「おばちゃんの声嫌いじゃないね!」
と思わせるものを持っていました。声には魂の状態がもろあらわれるからです。
むしろもう一人の同僚の声の方がひどくひねたものを感じさせ、
こちらの方が問題あるだろうと思っていました。
根本ではおばちゃんのことは嫌いじゃなかったので、
なんとかおばちゃんとよい関係を築きたくて、神様に毎日必至に祈りながら
取り組む日々が続きました。
おばちゃんは振幅のとても広い人で、ある時はコメディアン、ある時は悪魔、
ある時は誰よりも謙遜な人、人情の分かる苦労人・・・
これら全てがおばちゃんを構成していました。
聞くところによれば、あまりのおばちゃんの激しさに、
次々と犠牲者が現れては消えて行ったそうです。
おばちゃんが忙しくなってくると、その後ろ姿から黒いオーラが
モウモウと噴き出ているのが見えました。
(つづく)