天国への一歩

神・霊・魂、霊の見分けの話題。キリスト教信仰が出発点です。

イエスの失われた17年(5) ペルシアの国へ

「聖イッサ伝」

第8章

1.イッサの預言は近隣諸国に知れ渡った。そして彼がペルシアの国に入ったとき、祭司らは驚き、民がイッサの話を聞くことを禁じた。

2.しかしすべての村々は喜んで彼を迎えた。民が敬虔に彼の説教を聞いているのを見たとき、祭司らは命じて彼を捕らえ、大祭司のもとへ連れていった。イッサはそこで、次のような審問を受けた。

3.「おまえはどんな新しい神について語っているのか。哀れな男よ、おまえは知らないのか。至高の存在と親しく語ることは、聖ゾロアスター以外のだれにも許されていないことを。

4.「天のゾロアスターが受けた掟、神のことばを、だれが民のために書き記すことを、天の使いに命じたと思うのか。

5.「それにもかかわらず、わが神を汚し、信徒の心に疑念の種を、あえて蒔こうとするおまえは、そもそも何ものなのか」

6.イッサは彼らにこう答えた。「私が語っているのは、新しい神についてではありません。私はただ、私たちの天の父について語っているだけです。天の父は、常にそこに在り、すべてが終わった後もなおそこに在るかたです。

7.「私が人々に説いたのはそのかたについてですが、人々はちょうどあどけない子どものようです。彼らの素朴な知恵の働きでは、まだほんとうの神を理解することはできず、神の崇高な神性、霊性を見通すことはできません。

8.「だが赤ん坊は全くの闇の中でも、母の乳房をさぐりあてます。まさにそのように、あなたがたの間違った教え、間違った儀典によって誤りに引き込まれている人々も、本能によって私が預言している父の中に、ほんとうの父を悟っています。

9.「永遠なる存在は、私の口を通してあなたがたの民にこう語ります。『太陽を拝むな。太陽は、私が人間のために創った自然界の一部に過ぎぬ。

10.「『太陽は人が働いている間、人を暖めるために昇り、私が定めた休息に、人が入るのを邪魔しないように沈む。

11.「『人の所有するすべて、人の周りにあり、上にあり、下にあるすべて、私が創り、私が定めたものである』」

12.「だがしかし」と、祭司らは言った。「教えるものがいなくて、どうして民が正義の法則に従って生きることができるだろう」

13.するとイッサは答えた。「民に祭司がなければ自然の法が支配し、民の魂の公正は守られたでしょう。

14.「民の魂は神とともにありました。そして父とことばを交わす手段として、どんな偶像も動物も、火も必要とはしませんでした。誤った教えのために、ここではそれが慣習となっているのですが。

15.「あなたがたは太陽を拝み、善の霊と悪の霊とを崇めねばならぬと主張しています。だが私はあなたがたに告げます。あなたがたの教えは間違っている。太陽は自分の意志で動いているのではない。それを創った、目には見えない創造主の意志に従っているだけです。

16.「創造主は、人間の労働と種まきの時を暖めるために、昼間を照らす星として太陽を創りました。

17.「永遠の霊は、いのちあるものすべての魂です。あなたがたはそれを、悪の霊と善の霊とに分けるという、大きな罪を犯しました。神が、善なるものの外にいるはずはないのに。

18.「子が悔い改めるなら、すべてのあやまちを許す家庭の父と同じように、神がどうして、悔い改めた子どもに、善くないことをするでしょう

19.「悪の霊は、地上の神の子たちを、まっすぐな道からそらしてしまう、不正な輩の心の中に住むものです。

20.「それゆえ私はあなたがたに告げます。最後の審きの日に心しなさい。神はその輩に、怖ろしい懲らしめを加えるでしょう。神の子たちを正しい道から踏みはずさせ、誤った信仰と偏見で満たしてしまう、そのものたちに。

21.「神の子たちの見える目を見えなくし、健康な人に病をうつした、そのものたちに。神が人のために善を計画し、人の仕事を助けるために、人の下に置いたものを礼拝するよう教えた、そのものたちに。

22.「それゆえあなたがたの教えは、あなたがたの誤りの果実です。真理の神を手元に引き寄せようとして、あなたがたは偽りの神々を創造したのです」

23.イッサの話を聞いたあと、祭司らは彼を害することを避け、深夜、すべての街々が寝静まった頃、彼を城壁の外へ連れ出し、街道に捨てた。やがてイッサが、野獣の餌食になることを期待して。

24.しかしわれらの主、神のご加護により、聖イッサは苦しむことなく自分の道を進んだ。

「イエスの失われた十七年」(エリザベス・クレア・プロフェット著/下野博訳)より

(続く)
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第9章からは、29歳になった「イッサ」が、イスラエルに帰ってからの話に変わります。