この宿のオーナーのものと思われる車が停まっていて、
そのナンバーが888だったのです。
実は剣山から乗って来た観光タクシーのナンバーも8888でした。
「出た、God's carだ」
自分の中では8888=唯一まことの神で、888=イエス様
ということになっています。
8が寄り合いみたいになっていて、この旅は神様が見守っていて
下さったのだろうか、そうでなければ何かの偶然だろう。
茅葺の宿のオーナー(70歳位?)はとても気さくな方で、頼んでもいないのに
部屋の案内が終わるとやおら囲炉裏の端にあぐらをかいて、
自分の人生ストーリーを語り出しました。
「この人、瞳が青い・・・」
私はそのオーナーの目に釘付けになりました。
「この人本当にペルシャ人の血が入っていたりして・・・」
部下を大切にすること、お客様を大切にすること、
もうけてやろうと考えないこと、人生やろうと思えば何でもできることなど、
この方が人生で大切にしてきたことを話して下さいました。
しかも態度が全く偉そうでありませんでした。
そのどれもが自分の気持ちとぴったり来ました。
このオーナーのご先祖はこの地に800年前から暮らしているとのことで、
自分の先祖は平家の落武者だと言っておられました。
ここに安徳天皇と伴に落ちのびて来た平家の武将平国定は(たいらのくにさだ)は、
幼い安徳天皇をそれはそれは大切に守ってきたことでしょう。
いつか京都に戻り、安徳天皇を擁立し、平家を再興するということを
熱く願っていたようです。
このオーナーの人生哲学を聞いていると、平国定のスピリットを今もなお
受け継いでいるんだろう、と関心してしまいました。
ここは重要伝統文化財に指定されている落合集落の対岸にあります。
彼によると、落合集落に平家の人が住んでいたという間違った印象があるが、
もともと住んでいたのは木地師(きじし:木の器や道具を作る人)の人達で、
落人は彼らの住んでいた南側の土地ではなく、日当たりの悪い北側の斜面を
選んで住んだということです。
もといた人達の気分を損ねないように、気を遣って生活したんですよね、
と仰っていました。この茅葺の家のある場所も北側でした。
重要文化財に指定されてからは、観光地として外国人の利用者が増えてきたということです。
この落合集落が全国的に有名になった背景には、ある白人研究者の存在がありました。
その人は初めこの地方を愛し、ここに住み、色々と習俗を研究していたのだそうです。
自分が住んでいた茅葺の家を修復した後は、そこを現代的な宿としたそうです。
それから彼は研究者ではなく、すっかりビジネスマンになってしまったということでした。
現地の人にお金を落とさない、自分が他所から連れて来たスタッフを
働かせるなど、現地に還元しない仕組みを作ってしまったということで、
本当この地を愛しているのなら、現地の人を大切にするだろう、
とオーナーは憤慨されていました。
「日本人はすぐに白人を信じ込み、気づいたら彼らの言いなりになってしまう。」
とその話を聞いていて思いました。
この人物のことは私も前から知っていたのですが、こんな所でこそこそやるのは、
もしかしたら古代イスラエルの宝を狙っているスパイかもしれぬ、と思っていたのです。
安徳天皇の持っていた剣は、草なぎの剣と呼ばれるもので、
剣山の宝蔵岩に収められたという伝説があります。
(つづく)