和歌山は日本一の梅の産地なのですが、
梅が咲く頃に梅林を見に行こう!とかねてから計画を立ていて、
先日レンタカーを借りて梅ドライブを決行しました。
普段車に乗らないペーパードライバーなのですが、この日はなんと8時間近くも運転することになりました。
紀州田辺梅林(=石神梅林)という所を目指して行ったのですが、
死に目にあいました(笑)
私の好きな冒険家のテオドール・イリオンの言葉の、
「私は決して向こう見ずな冒険はしない。周到な計画を立てから実行する。」
というのが教訓として、つくづく思い出されます。
子供の頃は石橋を叩いても渡らない性格だったんだけどなー。
自分には神経過敏な所と冒険好きな所が同居しているようです。
冒険というよりも、細かい計画立てるのが苦手なので、無謀という説もありますが・・・
本当は南部(みなべ)梅林という有名な所に行くつもりだったのですが、
教会の方から「もう終わりかけているよ」と言われ、急きょまだ咲き始めだという、
石神梅林に行くことに決めました。
後で職場の同僚に聞くと、皆あまり知らなく、現地の人でも行かない所だったようです。
その名の通り石神梅林は、ところどころ岩が露出している、いかにも秘境的な山の上にありました。
目の前の道を見ると、山道にぐねぐねと曲がった細い道が一本。
「あ~こりゃ対向車来たらあかんわ」
と、神様に祈りながら上っていきました。
対向車が来なくても、今にも道を踏み外して落ちそうです。
ここにはもう二度と来るまい、と後悔しながら、なんとか目的地にたどり着きました。
そして肝心の梅林は・・・
一部咲いていましたが、満開には程遠い感じでちょっと残念な状態でした。
「美しい風景は心の中にだけある」などと考えながら引き返しました。
その帰り道、再び対向車が来たらジ・エンドな道を通るはめになり、
「来るなよ~!」と念を込めながら下りて行きました。
念じれば念じるほど逆に引き寄せるパターンでしょうか、案の定、前から中型トラックがやってきました(笑)
私はほとんどペーパードライバーなので、この今にも落っこちそうな道を、
バックして引き返すなんて不可能です。
左を見ると、すぐ近くに猫の額ほどの崖の方に張出した、三角形の待避所がありました。
一瞬ここを利用して車を寄せようかと思いましたが、
「ここに乗ろうとすれば、確実に落ちる」
と内なる声が語りかけました。
その時、職場の人に「和歌山の細い一本道で対向車に会ったら、絶対動いたらあかんで」
と言われていたのを思い出し、頑なに動かないでいると、
トラックの親切なお兄さんが神業を発揮し、待避所の方に車を動かし、
あわや車体同士擦れる、と思うぎりぎりの所で過れ違ってくれました。
トラック運転手の技術って本当すごいですね。
その後もう一つの岩代梅林という所にも行きましたが、観光地化され過ぎており、ここも不発でした。
最後にせめてどこか面白そうな所に寄って帰ろう、ということで、
御坊という所にある道成寺に寄ることにしました。
道成寺を知らない?!
大蛇になった清姫が、鐘ごと炎でもって焼き尽くすというお話です。
この話は昔から日本の芸能のモチーフとなってきましたよね。
蛇と化すまでの女の執念を、この物語はよく表していると思います。
これ史実だったらすごいですよね。
こういう話が残るということは、きっと何かあったんだと思うけれど。
このお寺では、お坊さんが絵巻を見せてくれながら、伝説を話してくれるのが呼び物なんだそうです。
聞きたかったなー。
今鐘は京都の方にあるそうで、焼かれた鐘があった円形の場所だけが、敷地内に残っておりました。
龍といい大蛇といい、昔話にはやたらと蛇にまつわる話が多いですよね。
神秘的な景色を見ると、実は本当にあったことなのかもしれない、と自然と思えてきます。
このルート、和歌山にしては意外なくらい、壮大で幽玄な景観が広がっています。
周りの人には、是非和歌山に来たらこのルートを通ってみて!とすすめています。
それこそカーブだらけのちょっと危険な道なんですけどね。
今回の梅林ドライブは、危険な思い出と、
香水にしたら売れるんじゃないかと思う、梅の甘酸っぱい香りが印象に残りました。
(写真は石神梅林~道成寺に向かう途中の景色。多分南部梅林の一角です)