下は、インドの外交官として旧ソ連にいたことのある方の記事です。ロシアとウクライナの現在の戦局の状況を伝えてくれています。
西側の情報操作によって、「プーチンは焦っている」「ロシアは追い詰められている」みたいな空気がありますが、この方の見方ではロシアが優勢のようです。大規模な偽旗報道が行われる時には、その逆の局面を考えればいいということですね。
インドはロシアに対して経済制裁を行っておらず、独自のスタンスを取っていますよね。日本が第２次世界大戦で負けて、日本の戦犯が国連の軍事裁判によって裁かれようとしていた時、ただ一人インドのパール判事だけが「こんな裁判は不当だ！」と独立した見方を持ち、反対したことを思い出します。
【追記】
これを書いている最中に、東部マリウポリが陥落寸前とのニュースが入ってきました。ロシア軍が化学兵器を使用したとのニュースも同時に飛び込んで来ましたが、これもこの方が示す通り、ウクライナ側の偽旗の可能性が濃厚かもしれません。
マリウポリ陥落 間近の可能性 - Yahoo!ニュース
露軍が化学兵器を使用か 地元当局 - Yahoo!ニュース
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キエフのフェイクニュースは残酷な4月の前触れ
M. K. バドラクマール
２０２２年４月４日
この1ヶ月間、キエフ周辺地域でロシア軍が残虐行為を行ったという疑惑について、憤慨したモスクワが月曜日に国連安全保障理事会の開催を要求している。この疑惑は一応フェイクニュースだが、偽情報であることが露呈するまでに誤認識を形成する可能性がある。
ロシアのタス通信によると、「ロシア国防省は日曜日に、ロシア軍は3月30日にキエフ地域のブチャを離れたが、「犯罪の証拠」は4日後、ウクライナ治安部隊の警官が町に到着した後に出てきたと発表した」という。同省は、3月31日に同町のアナトリー・フェドルク市長がビデオ演説で、ブチャにロシア軍はいないことを確認したと強調した。しかし、彼は手を後ろに縛られた状態で路上で射殺された民間人については一言も言わなかった "と述べた。
さらに驚くべきことは、「速報」から数分のうちに、西側諸国の指導者たち、つまり国家元首、外相、元政治家たちが、きちんと用意された声明と、数秒のビデオと写真の束だけを基に、非難を浴びせる準備をして飛び出してきたことである。専門家の意見も求めず、科学捜査も行わず、告発者に意見を聞く機会も与えなかった。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、次の日曜日の世論調査でマリーヌ・ルペンと再選に向けてデッドヒートを繰り広げている選挙戦を中断して、ロシアの残虐行為とされる行為を「戦争犯罪」と決めつけた。ドイツのオラフ・ショルツ首相も同様で、ドイツは3月に7.3％のインフレを記録しているため、大きな問題を抱えている。
苦境に立たされた政治家が厄介者を手に入れるのは、何も珍しいことではない。マクロンやショルツのような知的な頭脳は、ロシアの手にかかれば避け得ない戦略的敗北につながる自分たちの政策の欠陥に、今頃気づいているに違いない。しかし、大きな疑問は、なぜこのタイミングでこのような演出をするのか、ということだ。
このフェイクニュースは、ロシアの特別作戦の第2段階がドンバス東部で1週間以内に開始される予定であるにもかかわらず、表面化したのである。ウクライナ軍の最高部隊とされる60～80000人の部隊がドンバスで包囲された。
ロシアのフェイントは、先月までキエフのウクライナ軍を釘付けにすることで成功した。キエフの体制（と西側の「アドバイザー」）に真実が明らかになる頃には、ダメージは終わっていた。その結果生じた事態の重大さについては、少し説明が必要だろう。
上の地図は、「ノーボスチ」紙（残念ながらロシア語）から転載した4月3日時点の正確な地上情勢と、シリアでのロシアの作戦を取材した経験豊富な戦場記者イワン・アンドレフによる解説で、ドンバスの大釜がいかに深刻かを示している。ここでは数師団に及ぶウクライナ軍の精鋭が、敵軍によって兵站基地や他の友軍から孤立させられ、閉じ込められてしまっているのだ。
その釜はかなり大きく、地図上ではドンバス地方上部のハリコフ方面に青と黒の縞模様で記されている。1週間前にキエフ地方から撤退したロシアの大規模な部隊は、北のチェルニヒフ、北東のスミとハリコフ（ロシア国境付近）を迂回して、この大鍋に向かって大きな弧を描くように作戦を展開している。
ウクライナ軍は十分な武装をし、自軍を厳重に固めたが、この閉塞感から逃れることはできない。また、西側（ドニエプル川まで）には広大な農地が広がっているため、キエフが援軍を送ることも不可能である。ロシア軍は航空優勢であり、敵の動きを隠すことは不可能である。
ロシア軍は作戦の第1段階を通じて、近隣の空港をすべて使用不能にし、近隣のウクライナの石油備蓄を組織的に破壊した。以前のブログで書いたように、3日前、ロシア軍は壊滅的な打撃を与えた。特筆すべきは、戦略的に重要な拠点である中部ポルタヴァ州のミルゴロド軍用飛行場が機能停止に陥り、そのカモフラージュされた駐車場で見つかったウクライナの戦闘ヘリや航空機数機、燃料や航空兵器庫が破壊されたことだ "と。
同様にハリコフも包囲され、"木曜日に同市の防衛本部に対するイスカンデル作戦戦術ミサイルによる高精度な攻撃で、「100人以上の国家主義者と西側諸国からの傭兵」の死亡が確認された "とある。
それでも、ウクライナ軍は降伏するどころか、善戦することが予想される。包囲され、上空の援護もなく、部隊の交代範囲も機動戦に必要な燃料もなく、弾薬も底をついているにもかかわらず、である。
確かに、これまでのロシアの特殊作戦の中で最も決定的な、大きな戦いが近づいている。しかし、この大釜にはロシア系住民（ロシアのパスポート保持者を含む）の居住地も多く、攻撃は民間人の犠牲や民間インフラの破壊を避けるために、忍耐強く長い時間をかけて行われることになる。
つまり、フェーズ2の完了には、1カ月ほどかかるかもしれない。ロシア軍は、ウクライナ軍の背骨を折ることになるので、ここで勝たなければならない（勝つだろう）。ゼレンスキーは威勢がいいが、キエフは敗北の重大さに気づくだろうし、西側の指導者も壁に書かれた文字を見ることになるだろう。
確かに、西側諸国の戦略は、フェイクニュースを絶え間なく作り出し、情報戦を激化させるというもので、この先1ヶ月は続くだろう。西側の諜報員の監視のもと、偽旗作戦さえ行われるかもしれない。
最悪の場合、キエフは最後の切り札である化学兵器を使用する可能性さえある。ロシアは、ウクライナが化学兵器を備蓄している場所の詳細を公表している。米国は、化学兵器に対処するための特殊装備（ガスマスク、防護服など）を軍事援助として提供し、集団防護のための特別訓練を行ったことが知られている。
マクロンとショルツがフェイクニュースを消費したのは、情報戦の新しい局面の前触れである。簡潔に言えば、パリとベルリンでは、ロシアの作戦が設定された目的を見事に達成しているという冷静な目覚めが起きているのである。
TSエリオットは代表作『荒地』の中で、「4月は最も残酷な月である。死んだ土地からライラックを繁殖させ、記憶と欲望を混ぜ合わせ、春の雨で鈍い根をかき乱す」と書いている。しかし、今年の「四月らしさ」の暗い皮肉は、ここでの繁殖と再生が、西洋においては（略）ロシアの再生を意味するだろうということである。
キエフのフェイクニュースは残酷な4月を告げる - インドのパンチライン (indianpunchline.com) からの訳です。
