天国への一歩

神・霊・魂、霊の見分けの話題。キリスト教信仰が出発点です。

逃れの隣のHさん(2)

この隣のHさんは、私がこの仕事に就いてからの

教師みたいな役目をずっとしてくれていました。

自分だってかなり忙しいのに、事務処理が苦手な私の度重なるミスに文句も言わず、

さらっと修正してくれたり、私が間違った説明をお客さんにしていたら、

横からすかさず修正を入れてくれたりしていました。

でもHさんの顔を見ると、いつも青ざめていて、今にも死にそうなんです。

生まれもっての軽い障害のせいでしょうか、生きること自体が辛そうに見えます。

どもりゆえに、男としてのプライドを剥奪され、恥と屈辱の多い人生だったと想像します。

まだ30代後半なのに、髪の毛はほとんど白髪になっており、Hさんの苦悩を忍ばせます。

そのくせ人一倍丁寧で、誰よりも完璧に仕事をこなす人でした。

いつも死の淵に瀕しているせいか、仕事の仕方も鬼気迫るものがあるんです。

本人は気が弱いと仰っていましたが、度重なるお客さんのクレームにも立ち向かい、

持ち前の真剣さで見事に処理されていました。

心構えと詰めが甘い私に対して、言うべきときにはしっかりと注意してくれました。

しかし、私が仕事に慣れていないからと、自分の時間をオーバーしてまで、

私の分をずっと処理してくれていたことに、最近気づいたんです。

なんていい人!

この仕事を始めて以来、難しい仕事の半分は、

実質Hさんにやってもらっていた感じなんです。

会った時にはHさんの良さが分からず、周りの人と一緒になってHさんの

喋り方の良くない点を噂したりしていました。

しかし、じわじわとHさんのすごさと優しさが分かるにつれ、

この人は神様からの使いに違いない!!と確信するようになりました。

ていうか、自分よりもHさんの方が、むしろ天国に相応しい人だと思う。

Hさんからは何よりも、真剣さと誠実さを学びました。

Hさんがいなければ、見知らぬ土地に来たばかりで、

いきなり自分の能力外の仕事を与えられ、今頃ズタボロになっていたと思います。

私がHさんのことを褒めると、「そんなことないよ」と猫背の寂しい微笑みで返されます。

そんな素晴らしいHさんとも、人事異動で今月の3月でお別れです。

Hさん今までありがとう。

あなたは私の心の師でした。

(因みにHさんは既婚者で恋愛感情は全くありません)